まだ、悩む
資金計画や仮住まいを探す一方で、一番大切な「建築家を確定させる」ということが置き去りになっていました。もちろん、のさっく家はAさんにお願いしたいのです。
ただ、心配なのはAさんご自身が非常に多忙であることです。つまり、設計をしてもらうのに、「順番待ち」が発生するのです。
のさっく家は今回、マンションを売却していったん仮住まいに移る「背水の陣」を敷いて家作りに挑むことになということはすでに記述しました。多忙なAさんにお願いするとなると、この仮住まいの期間が長期化する恐れがあります。
そうなると、銀行の言っていた
「土地取得から建築完了届までの間隔が2年以内」
という条件に収まるのかが、気になります。
そのうえ、仮住まいを長く続けることはのさっく夫婦にとってストレスにつながってしまいます。
また工務店に関しても、ウデだけではなく、財務力もあるところを選ぶ必要があると思っています。
果たしてそれはAさんの考えと一致するのでしょうか。
・・・こんなことをのさっく夫婦だけで悩んでいても仕方ありません。
一度、Aさんにぶつけてみようと思いました。
それでダメなら、縁がなかったと思って諦めるしかありません。
…本当はもちろん、諦めたくはありません。
この時点ではのさっく夫婦はすでにAさんの大ファンになっていたからです。
こういうことを悩む少し前に、Aさんの設計した家で内覧会があるから来ませんかとH社のTさんからお誘いを受けていました。
この内覧会に行くのはいったん断っていました。
だって、今やのさっくはマンションの売り主なんですからね。
売り主が休日に家を空け、機会損失を発生させてどーすんですかってことです。
しかし背に腹は替えられない。
この内覧会でAさんと会って、のさっく夫婦の思いをぶつけてみようと思いました。
内覧会に行く
内覧会の日。Y市にあるAさん設計の家までトコトコ出向くのさっく夫婦。
家に着いたとたん。
その美しさに見惚れるのさっく夫婦。
いやー、やっぱりAさんの家は本当に良いんです。
シンプルだけどバランスの取れたアプローチ。
採光が確保されて明るい広い玄関、その脇には使い勝手の良い玄関収納。
白一色のなめらかなオープン型のキッチン。
微妙に陰影のある和室。
リビングにはシアターシステム(が入るように設計されている)。
そして広々として家の中心にある中庭。
Aさんと話しすることが第一目的なのに、夢中で内覧を続けるのさっく夫婦。
Tさんも居ました。
それから見覚えのある女性も。
そうです、この女性こそ、のさっくが建築家TUさんと会ったときに事務所におられた、工務店「J」の方でした。
実はこの家は工務店Jが施工されたものだったのです。
こんなところで再会するなんて。
なんとなく運命的なものも感じているのさっく夫婦の目に、Aさんの姿が写りました。
今はどなたともお話されていません。
「チャンス!」
とばかりにAさんに近づくのさっく夫婦。
Aさんとお話しする
「今ちょっとお時間いただいて良いですか?」
とどうしてもやや改まってしまうのさっく。
「いいッスよ。」
とぜんぜん自然体のAさん。
奥の部屋でAさんと向かい合います。
「融資を受けるために銀行と事前相談しました。このご時世ですから、中間金を支払う条件として一定の財務力がある工務店を選ぶことにしたいと考えています。そういうことも含めて工務店を選んでも構いませんか?」
とおもむろに切り出すのさっく。
「こちらとしても財務力のない工務店はお薦めしません。オーケーです。」
まず一点目はクリア。
「銀行ローンを受けるためには、土地取得から2年以内に家が完成していなければなりません。こちらの財政面の都合で、2年以内の竣工をお願いすることになります。可能ですか?」
「土地取得から2年ですよね? それならぜんぜん問題ないッスよ。」
とあっさりAさん。
「そういう事情はきちんと優先させます。」
その瞬間、のさっく夫婦の顔はパッと明るくなったに違いありません!!
「そういうことなら…」
といきなり正座するのさっく夫婦に驚いてAさんも正座されます。
「私たちの家の設計をお願いします!」
「分かりました。楽しく家作りをやっていきましょう。」
ニコニコするAさん。
そのひとことが本当に、どんだけ嬉しかったか。
まるで「告白」が受け入れられたようです。
ついにのさっく夫婦の夢の新居を設計する建築家が、ここに決定したのです!
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