建築家と出会うには
しかしいったい、どこに行けば建築家と会えるのでしょう。
それぞれの建築家はどんな家を得意としているのでしょう。
そもそも、個人の住宅を設計しているのでしょうか。
インターネットで検索すると、それなりに建築家のサイトにたどり着きます。
しかし得てして建築家のサイトは作品のみが掲載されており、寡黙です。
作品を眺めているだけでは、「この人にお願いしよう」と決心するまでには至りません。
そんなときにまたまた図書室で借りた一冊の本(借りてばっかりですみません。しかもなんという本かも忘れました)。
「建築家と出会う方法」というページがありました。
そこには建築家との出会いをサポートするプロデュース会社があると載っていました。
数社あるその手の会社を見てみて、一番よさそうなところのサイトに行きました。
簡単なアンケートに答えると「あなたにぴったりな建築家はこの10人です。」と書かれたメールが返ってきました。
事務所に行けば、細かく要望を聞いてもらって、作品集を見ながら各建築家の特徴・人柄・コストなど雑誌やWebサイトでは分からない詳細な情報が聞けて、
「のさっく家にピッタリだと思われる建築家をご紹介させて頂きます。」
そんでもって
「家づくりのご相談、建築家のご紹介など、費用は一切かかりません。」
なんと、無料のサービス。
すんばらしい。
さっそく担当までいそいそと連絡するのさっく。
住宅展示場に初めて行ってからおよそ一ヶ月後のことでした。
建築プロデュース会社って?
のさっく夫婦が選んだ建築プロデュース会社は、「ザ・ハウス」というところでした。
私たちにはここがいちばんしっくりくる考え方をしていると思ったからです。
のさっくの理解では、建築プロデュース会社は、次の3種類に大別できるようです。
- 施主から要望を聞いて、建築家コンペを行うところ
- 施主と建築家をマッチングしたうえで、建築家との打ち合わせもサポートするところ
- 建築家とのマッチングのみを行うところ
このうち、建築家コンペってのはのさっくにはピンと来ませんでした。
施主が要望をたくさん上げて、それで建築家コンペをやって、一番魅力的なプランを出した建築家に設計を依頼する。
これって一見、楽しそうな気もしますが、しかしちょっと違うような気がしました。
まず施主の要望は、言葉だけでは伝えきれないんじゃないかなぁ。
よほど真意をきちんと伝える描写力があって、しかも受け取る側もその真意をきちんとくみ取らないと、施主が本当は何を望んでいるかわからないと思います。
しかも素人である施主に、建築家が出してきたプランの本当の善し悪しってわかるものなんでしょうか。
難しいと思います。
建築家側も、設計を請け負うことになるかどうかも不明な段階で、本気のプランは描けないと思います。
時間のある下っ端に、受け狙いのプランを「当たれば幸い」ってことで描かせてるってのがオチではないでしょうか。
それから、建築家との打ち合わせまでサポートしてもらう必要もないなぁと感じました。
住み心地の良い家ができるためには、建築家と施主の「相性が合っている」必要があると思ったのです(借りてきた本の受け売りです)。
それならば、建築家との打ち合わせも施主自身が楽しみながら進めるものなんじゃないかなぁ。
とすれば、結局、もっとも難しい「施主と建築家のマッチング」だけに専念する会社が、一番まっとうなやり方だと思いました。
ということで、のさっく夫婦は「ザ・ハウス」という会社を選びました。
この選択が大正解だったことは、あとになってからわかりました。
ザ・ハウスに行く
そんなかんなで「ザ・ハウス」の事務所に行ってきました。
事務所はクラシカルで趣きのあるビルの地下にあります。
対応していただいたのはTさん。
やや緊張気味ののさっく夫婦に、今までの経過や資金計画、これからどのように家を建てる予定なのかなどと質問します。
実はこの時点ではまだ、中古戸建てやハウスメーカーの注文住宅にもいくらか未練を残していたのさっく夫婦ですので、そういうことも正直に答えました。
予算も正直にお話しすると、「予算の範囲内では29坪~30坪の建坪となるでしょう」とのこと。これは4人ファミリーの標準的な大きさだそうです。
また、
「建築家が決まってから家が完成するまでは1年以上かかるので、急ぐ必要があるのなら、難しいですよ。」
ということも言われました。のさっく家に急ぐ理由は特にないのでこれはオーケーです。
どんな家が良いかも聞かれて、実はそれほど明確にイメージできていなかったのですが、良い感じだと思う住宅の写真を見てもらったり、やや漠然と
「角張っていない家」
などどイメージで答えたりしました。
建築家の作品集を見せてもらう
だいぶあやふやな受け答えであったにもかかわらず、Tさんは「だいたいわかりました。今から建築家の作品集をたくさん見てもらいます。どの方を良いと感じるか、言ってください」
と、たくさんの建築家の作品集を次から次へと出して来られます。
それを必死で見るのさっく夫婦。
見ていると不思議なことに(不思議でもなんでもないかも知れませんが)、
「この人の作品は好き、この人のはなぜだかイマイチ」
ととりあえず判断はできます。そういうことをTさんに伝えると、うなずいたTさんはさらにまた作品集を出して見せてくれます。
どうものさっく夫婦は「いかにも建築家の家でござぃ」とばかりに、肩肘張って威張った「作品的な」建物には興味がなさそうです。
ごくナチュラルな家で、凛とした美しさを感じさせる家にピンと来ます。
中庭がステキな家も、ビンビン来ます。
カントリー風の、床も天井も一面が節の入った白っぽい木、という家は苦手なようです。
20人ほど見たところでしょうか。
4人の建築家が候補として残りました。
Aさん、H夫妻(ご夫婦で設計をされています)、TUさん、Sさん
この時点では4名の建築家はどなたも甲乙つけがたく、のさっく夫婦の感性に訴えてくる家を設計されています。
そしてTさんの話によると、私たちが選んだどの建築家も、「売り込むための営業的な無料プランは作りません!」ということでした。自分のプランに自信があって「安売りしないゾ」って感じで、その方が頼もしいと思いました。
建築家それぞれ
そのときにTさんから聞いたことや、のさっく家が感じたことはだいたいこんな感じでした。
【Aさん】
Tさんのお話し:
- 4人の中では一番バランスの取れた人柄。
- 人気が高く(現在、ザ・ハウスからも3人が依頼中)、依頼できるまで少し待つ必要がある。
- 和風を基礎から勉強しているため、和風も得意としている。
- 周囲との調和を重んじ、なるべく慎ましやかに設計する。
- 工務店に理解してもらうために、図面は丁寧に書く。
のさっく家の感想:
- 4人の建築家のうち、もっとものさっく家の感性に一致している。
- 端正かつ繊細でバランスの取れた美しさ。木の使い方や色づかいが絶妙。
- 空間の切り取り方がうまく、そんなに広くない空間から開放感が感じられる。天井が高く見える。
【H夫妻】
Tさんのお話し:
- 夫婦でのんびり構えており、のさっく家には合うのでは。任せて安心感があり、ストレスが少ない。
- 夫の「建築家」としてのこだわりを、妻が現実的なレベルにうまく引き戻してバランスを取っている。
- 夫婦なので、のさっく嫁が一人で建築家と相談する時でも安心して話ができそう。
- のんびりしているが故に、家が建つまで一年以上はかかるかも知れない。
- 建坪単価は70万円~80万円。
のさっく家の感想:
- 気負いのない柔らかさがある。良い意味で、建築家の家らしくない。
- 木を多用している家が多く、ややカントリー調に見える。
【TUさん】
Tさんのお話し:
- 体育会系で若手のリーダー的存在。年長者からやや睨まれているところもある(こういうことを正直に言ってくださるのが、Tさんの良いところです)。
- 自分から提案を出して、施主を引っ張っていくタイプ。
- きちんとした仕事をしないと気が済まない。
- やや早めに完成に至るかも。
- 建坪単価は約70万円。
- 依頼が決まってからでないと、既施工作品を見に行けないのがネック(他の3人は依頼前に見に行ける)。
のさっく家の感想:
- 他の建築家と比べると、やや気負いがある(かなり建築家ぽい家)。
- 空間の切り取り方、曲線の使い方はうまい。
- リビングの延長のような外の空間が良い。
【Sさん】
Tさんのお話し:
- 年齢の割には落ち着いた人。
- 壁をクロス貼り(普通の施工)にせず、職人が手塗りする壁にするなどのこだわりがある。
- 建坪単価はやや高めで80万円ほど。
のさっく家の感想:
- 懐かしい感じで、質感やぬくもりがある家。
- 中庭のある家が良い。
- 光の入り具合がうまく計算されている。
- 建築物に色気がある。
Tさんに日程調整していただいて、この4人の建築家ととにかく一度お会いして、話をすることになりました。
生まれて初めて建築家と話をすることになり、ドキドキするのさっく夫婦でした。
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