建築家を決めるプロセス

次のステップ

こうやって、のさっく家の家作りは徐々に形が決まりつつありました。

  1. 中古戸建てを買うのではなく、新築を建てる。
  2. 建売住宅やハウスメーカーの家ではなく、設計を建築家にお願いする。
  3. 土地は生駒市で手に入れる。

大きな決断です。

こうなると今後すべきことを大きく分けると、

  1. 設計を依頼する建築家を決める。
  2. 土地を取得する。

となりました。
もちろん、今住んでいるマンションの売却や、仮住まい探し、資金計画も大切な準備です。これらはまたあとで触れます。

これらを実行する順番は明確です。
のさっくは建築家と会った際に、必ず
「土地探しにつきあってもらえますか?」
と聞いていました。
お会いしたすべての建築家は例外なく
「喜んで!」
という返事でした。

建築家としても、家を建てる土地を選びたいという思いがあるようです。
そしてその選び方は、一般の不動産的な「整形地、角地、南向き」などとは違う観点で、
「施主の思いを実現しうる建物が建てられる土地か?」
ということに選択の基準があるようです。

ですから、変形地でも住宅密集地でも北向きであっても、「プランの工夫で施主の思いを実現しうる」土地というものがあり、建築家はそれを見分けることができます。
逆に言うと、一見良い土地であるように見えても、施主の思いを実現できない土地もあるということです。
ということは、土地を探す前に建築家を決め、その方に土地探しにつきあってもらう必要があることになります。

ということで、次のステップは、「どなたに設計をお願いするか」を決めることでした。

二人のうちのどちらか

のさっく夫婦で話し合うと、ふたりの結論はぴたりと一致していました。
「Aさんか、Sさんに設計をお願いしよう。」

  • Aさんは一見、とっつきにくそうですが、懐に飛び込めばきっと面倒見が良いのだろうとふたりとも感じていました。
    それに、「資金面」という建築家としてはあまり相談に乗りたくない部分に関しても、親身に相談に乗ってくれそうな気がしました。
  • 一方のSさんは、なにせ設計された家の雰囲気が素晴らしい。また、「趣味=音楽鑑賞」もやはりポイントが高い。

ふたりのうちからお一人に絞るのであれば、もう一度お会いして「相性」を再確認することと、実際の家を見るしかないと思いました。さっそくTさんにお二人との調整をお願いしました。

「話しやすさ」ということだけであれば、おそらくHさん夫妻がもっとものさっく夫婦には合っていたのかも知れません。
こうなればもう、作風に対するギリギリの好みの問題でしかありません。

今でもときどき、Hさん夫妻が懐かしく、会いたくなるときがあります。
難しいもんですね。

Aさん設計の家を見に行く

とうことで、さっそく「ザ・ハウス」のTさんの調整により、Aさんが設計された家を見に行くことになりました。
この家は、数年前に竣工しており、すでに施主がお住まいだとのこと。
建築家の家に住む人のナマの声を聞くことができる絶好の機会でもあります。

もう一組、Aさんに設計依頼を検討中のご夫婦と一緒に、S市にあるその家に伺いました。
AさんとTさんも一緒です。

駅から歩くこと10分足らず。
離れた場所からでもひときわ美しい家が見えてきて、やはりそれがAさん設計の家でした。
すぐれた建築家のデザインは、本当に何物にも代え難く素晴らしいものです。
必要以上にカッコつけてる訳ではありません。けれども絶妙に美しい。

リラックスした雰囲気のご主人が家の外で女の子と遊んでいました。
「お邪魔します。」
と挨拶されたAさんとのやりとりも、気心知れた感じでとても自然。

惣利さんの家(外観)
(許可を得て、のさっく撮影)
惣利さんの家(リビング)
(許可を得て、のさっく撮影)
惣利さんの家(ウッドデッキ)
(許可を得て、のさっく撮影)

良い色をした杉板が外観を特徴づけています。
扉の一部がガラスになっていて明るい玄関。
木がきれいな色をした天井。
2階リビングの延長となっている美しいウッドデッキ。
奥さんがこだわった使い勝手の良さそうなキッチン。
水回りのすぐそばにあって外からはうまく目隠しされた洗濯モノ干し場。
「小さなお家」の形となっている可愛い子供部屋。

特に驚いたのは、開口部がたくさん設けられていて室内が明るいのにも関わらず、カーテンが一切どこにも掛かっていないことでした!
周囲は駅から徒歩圏の住宅密集地です。
カーテンを掛けなくてもまわりの視線が遮断されるよう、きちんと計算されて開口部が取られているのです。
建築家の設計はかくも凄いものなのだと、思い知りました。

Aさんと施主のやりとり

Aさんからは「予算が厳しかった」と事前に聞いていましたが、どこにもコストダウンした跡のようなものは感じられず、それどころか細部まで丁寧に仕上げられた施工のレベルにびっくりするくらいでした。

リビングでしばし施主(ご夫婦+お子さん)を交えておしゃべり。
施主の方がのびのびと新居での暮らしを楽しんでいることがよくわかりました。
それにAさんと施主のやりとりが実に良かったなぁ257

どんな家にするか、Aさんと施主でかなり真剣勝負な打ち合わせがあったみたいなんですね。
それはある時、言ってみれば「ケンカの一歩手前」くらいまでいっちゃってるイメージでした。
そしてそのことをごくさらりと話すAさんと施主。
このくらい双方、言いたいことが言えたのは、強い信頼関係があったからなんだろうと思いました。

それと、施主の娘さん(3歳)がまた可愛くて68
のさっく夫婦に懐いてくれて、とても楽しく遊びました。
特にのさっく妻はものすごく好かれていました。
帰り際に
「帰っちゃダメ。一緒に暮らそ。」
と言われた妻はメロメロになってましたよ349

「女の子が欲しい。」
と思っているのさっくはあんな可愛い娘が居たら良いなぁと思ってしまいました。
Aさんの設計する開放的な家が、子供に良い影響を与えているのかなぁ、なんてことも考えてしまいました。

Sさん設計の家を見に行く

建築家Aさんの作品を見た後、ザ・ハウスのTさんには建築家Sさんの家も見せてくださいとお願いしていました。

指定された日に、のさっく夫婦はSさんの事務所に伺いました。

Sさんの事務所は静かな住宅街にあって、とてもひっそりしたたたずまいです。
シンとした感じの土間があって、Bang &Olufsenのオーディオセットが置かれていました。
「何かかけてください。」
とお願いすると、グレン・グールドのバッハをかけてくださいました。繊細で良い音が聞こえてきました。

コーヒーをいただきながら、模型を見せてもらったり、雑談をしたり。
のんびりしているうちに半時間くらい経ってしまって、ややあわてて事務所を後にすることにしました。

今日はSさんの設計で建てられた家を2軒、見せてもらうことになっています。

 阪急電車に乗ってまず、M市の家に到着。
「あ、Sさんの家だ。」
とすぐにわかる、やや和風で陰影を感じる家でした。

Sさんの事務所と似た感じの土間があって、美しい中庭がありました。
収納はすべて、一見収納と見えないように丁寧に作り込まれていました。
ピアノ室があって、奥さんがピアノを弾けるようになっていました。
奥さんがベートーベンのピアノソナタの一節を弾いてくださいました。

再び阪急電車に乗って今度はA市の家へ。
ここは駅から登り道を歩いて10分ほどの山の手にありました。

玄関を開けるといきなりリビング。
リビングの向こうは神戸の町並みや海が広がっていて、眺望が抜群。
その横にある、ひっそりした和室の雰囲気も良かったです。
この家にもリビングにピアノが置いてありました。とてもいい音を出していました。

答えが出る

どちらも本当に良かったのだけれど、のさっく夫婦はお二人の作品を見たあとに
「答えは出たかな。」
と直感しました。

AさんとSさんは写真でみる限りでは似ているイメージの作品を作られる、と思っていました。
しかしお二人の作品を見ると、その印象は全くと言ってよいほど異なっていました。

すごく単純に言ってしまうと、Aさんが「陽」であるのに対して、Sさんは「陰」なんですね。
どちらが良いとか悪いではありません。

ただ、今回ののさっく夫婦は、「子供を育てる環境としての家」を考えています。
そうなるとAさんの作る家が持つ「明るさ」は重要なファクターだと思いました。
Sさんの家には独特の陰影があり、それをかつてのさっくは「色気がある家」と呼びましたが、それは子育てにはやや不向きなのではないかと思いました。

もうひとつ。
Sさんが設計する家の照明器具の布や建具の金具などは高価なヨーロッパ製品だったりしました。
そのことをわざわざ言われるSさんに微妙な違和感を感じてしまったことも事実です。
たぶん、のさっくが求めている家の「質」とSさんのそれは違うものなのでしょう。

また、のさっくは建築家としてのAさんの「熱さ」に惹かれるものを感じています。
施主と真正面から向き合うその姿勢が実に頼もしいのです。
のさっく夫婦の思いを家づくりに活かしてくださると感じました。

Aさんに設計をお願いしよう。

この段階でのさっく夫婦は、このような結論に至りました。

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